北朝鮮 拉致事件被害者を救おう  訪米団の報告をご紹介します。

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.05.15)

 5月6日から13日までの家族会・救う会拉致議連の訪米について、家族会
飯塚繁雄代表、増元照明事務局長が松原仁拉致問題担当大臣に訪米報告を行っ
た。松原大臣は、今回は公務のため参加できなかったが、これまで毎年の訪米に
毎回参加しており、また今回の訪米につき報道もなされていたので、報告内容に
つき具体的な懇談がなされた。

 参加者は、家族会から飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、救う会から平田隆太
郎事務局長。以下は懇談の概要。

松原仁拉致担当大臣に訪米報告

松原 キャンベル国務次官補の発言は、目の前にいるのが拉致被害者家族と分かってのことか。

※キャンベル発言=国際結婚した日本人の妻が離婚後に子どもを日本に連れ帰っ
て夫に会わせない、いわゆる「子の親権問題」を「日本人による子ども拉致だ」
とする問題と、北朝鮮による拉致問題を同氏が関係付け、「合わせて解決したい」
と発言をしたこと。夫婦間の問題と国家犯罪の問題を同列に扱ったためその後、
国務省は直ちに「関連付けているわけではない」と発表し、面会した米国議員な
どからも強い批判が出された。

増元 もちろん何度も会っており知っている。彼は30分くらい遅れて参加し、
そのことを中心に話して、こちらが反論する前に席を立った。後日、議員たちか
らは厳しい批判があった。国務省から参加した人たちには、松原大臣というのは、
米国が2008年に、ヒル国務次官補に対し、米国は北朝鮮をテロ支援国指定か
ら本当に解除するのかと何度も迫った人だと説明した。

飯塚 国務省にスネドンさん拉致の情報を提供したが、口を合わせたように、個
人情報保護の問題があるので協議はできないと述べた。国務省は腰がひけている
感じがした。

増元 ロバート・キング北朝鮮人権特使からスネドン家に電話があったと、デヴィ
ド・スネドンさんのお母さんから島田副会長にメールがあった。家族に対しても、
個人情報保護の問題があるので協議はできないと述べたという。家族でも話せな
いということだ。

松原 米国の対北政策で変化は感じなかったか。

増元 特には感じなかった。拉致問題アメリカにとって大きな問題ではないと
いう意識があると思う。しかし、議会、特にスネドン家の地元ユタ州のマイク・
リー上院議員やロスレーティネン下院外交委員長はより強い関心を示した。国務
省に調査を申し入れると言っていた。その中で、日本の拉致問題に関する情報も
出てくるとか、新しい展開が期待された。また、CIA(米中央情報局)やDIA(国
防情報局)も関心を示し、問合せをしてきたとチャック・ダウンズさんが言って
いた。
※チャック・ダウンズ=前米北朝鮮人権委員会事務局長、スネドン氏拉致を提起
した人物。

飯塚 スネドン家は、デヴィドさんの失踪について政府に調査を求めている。ま
た、日本に来て、政府や国民が拉致問題に関心を持っていることについて感激し
ていた。

平田コメント
 米国がデヴィド・スネドンさんの拉致問題に関心を示し始めたこと、またスネ
ドンさんの地元出身のロムニー氏(共和党)が大統領候補となってオバマ大統領
と争っていることに松原大臣も関心を持ったように思えた。

以上



訪米報告3 ユタ州出身上院、下院議員らにスネドン情報を提供 : 救う会全国協議会ニュース
投稿日:2012年5月13日
 訪米団は5月8日、9日精力的な活動を続けた。8日にナイズ国務副長官、リー上院議員ユタ州)、シャボット下院議員、9日にロス=レイティネン下院外交委員長、シェイフィッツ下院議員(ユタ州)と面会してスネドン情報を提供した。

 そのほか、8日にフライツ元下院情報委スタッフ、9日にニクシュCSIS上級顧問、ローレス元国防部副次官、リビー元副大統領顧問と北朝鮮情勢やスネドン事件を含む拉致問題全般について意見交換をし、9日、国務省のキング特使、デービス代表らに国防総省から朝鮮担当と日本担当の実務者が加わる昼食会を開き、北朝鮮崩壊時における被害者救出問題などについて議論した。

 ナイズ国務副長官は野田首相訪米時の日米首脳会談でも拉致問題が取り上げられ、米国政府は高い優先順位で拉致問題解決のために努力していることなどの説明があった。ただし、訪米団が提供したスネドン情報については、前日と同じように個人情報保護法を理由に具体的な言及を避けた。

 ユタ州出身のマイク・リー上院議員、シェイフィッツ下院議員、そしてわれわれが訪米するたびに面会してくださっているロス=レイティネン下院外交委員長、シャボット下院議員は、みな、スネドン情報を大変真剣に聞き深い同情を示した。

 リー議員、シェイフィッツ議員はスネドンさんの家族との面会、継続した調査、議会での提起、国務省への働きかけを行うと約束した。

 また、ロス=レイティネン下院外交委員長は7日のキャンベル次官補の「子ども拉致」発言を激しい言葉で批判し、ユタ州の議員らによる調査が進めば自分もスネドン問題を取り上げたいと約束した。

 シャボット下院議員は昨年に引き続き、拉致問題解決のために中国を本気にさせるためには日本が核武装をすることを検討し、準備作業をはじめたらよいという提案をした。訪米団からシャボット議員に日本核武装について米国議会の反応はどうかと質問したところ、「(賛否)がミックスするだろう。私は支持する」と答えた。

 ローレス氏は「米国政権は任期終了半年前くらいから、業績を残そうとして北朝鮮に対して安易な妥協をして失敗してきた前例がある。2月の合意で国務省が食糧支援を約束したのも6者協議を再開したいからだ。8月から10月くらいの時期に、また国務省が協議再開をめざして融和策をとる可能性があり、そのとき、6者協議の議題から拉致問題をはずすことを米国が日本に要求する危険性があるので、スネドン問題はそのような悪いシナリオを防ぐためにも有効だ」と具体的な指摘をした。

 ニクシュ氏は豊富や知識を背景に、北朝鮮の核開発の現状、金正恩体制の安定度、スネドン問題を米国社会にどう広めるかなどについて貴重な指摘をした上で、テロ支援国再指定問題について、北朝鮮ヒズボラハマスにミサイルを提供している事実が明らかになっているのに再指定しない国務省の姿勢を厳しく批判した。