2020-07-16から1日間の記事一覧

珍説弓張月 鎮西八郎 老猴、塔に登りて主を辱かしめる

八郎冠者為朝は、重季、山雄を喪いしより、気分も晴れず、行く末の処し方などを思う日が続いていた。 そんなある春の夜、為朝は寝覚めに夢を見た。 ひとりのおなごが、白綾の袿(うちぎ)に同じ色の袴を穿き、紅の一枝の花を頭髪にさして、枕元に立って 「近…