9日号エコノミスト誌(英)(「空洞化する(日本産業)」):

9日号エコノミスト誌(英)(「空洞化する(日本産業)」):

 日本の産業の空洞化が進んでいる。カリフォルニア大学サンディエゴ校のウルリケ・シェーデ教授によれば,日本産業全体の5分の1は既に海外にシフトしており,その割合は電子機器産業では30%を超え,自動車産業では約50%を超える。OECDのデータによれば,2000年から2008年の日本の製造業雇用者数は10分の1減少した。こうした中,2011年の災害は日本の産業界の海外移転の動きを加速させた。経済が弱いにもかかわらず,円高は長年に続いてきた。しかし,円高と電力不足は,他の多くの懸念事項のリストの一部でしかなく,その後には都市直下型地震や人口減少,高い法人税率,厳しい労働市場自由貿易への固い扉などの問題が続く。多くの日本製品が既にその競争力を失っており,長年の貿易黒字の後での貿易赤字は不安を掻き立てる。しかし,円高が続いている要因の一つは経常黒字が健全に保たれていることであり,それは殆ど海外投資から流入する収益のおかげである。海外に拠点を移転しその収益を本国へ送還する空洞化には,十分見返りがあるのだ。
以上 抜粋 本文は図の下に続く

上記は1996年文科省資料 


上記は2012年総務省資料

エコノミスト誌が指摘する「空洞化の見返りを受け取ることができる」のは海外の優良資源(人、企業、ブランド、製造工場、金融、天然資源)に投資済みの大企業だけである。海外の有料資源を現在持っていないその他の企業・個人は原発停止による電力不足と高い法人税率によるさらなる空洞化の脅威にさらされている。おまけに、この夏からは電力料金も値上がりするのだ。

こうして進んでいく製造業と農業の空洞化はサービス業を中心とする第3次産業の衰退をもたらす。好調な医療介護の世界ですら海外で受けることが可能であり、海外との競争が避けられない時代だと言うことを忘れてはならない。

エネルギー問題を解決し、高度な技術で産業の新領域を開拓するしか道はない。