2月22日 スペイン・マドリードの北朝鮮大使館が襲撃され、コンピューターなどが奪われる
2月22日のスペイン・マドリードの北朝鮮大使館が襲撃され、コンピューターなどが奪われる事件では、「大使館に侵入したのはアジア系の10人ほどのグループ」で、「そのうちの1人は金正日総書記のバッジをつけ、書類のありかを聞き出そうとした」という。
朝鮮日報は、脱北者支援団体とみられる「チョルリマ・シビル・ディフェンス(千里馬民防衛)」が事件に関与したかどうかが注目されると指摘。同団体は金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄で、2017年2月にマレーシアで殺害された金正男氏の息子ハンソル氏の安全確保のために活動しているといわれる。(2019/02/28-09:41)
警察が24時間警戒 チャイム鳴らしても気配なし
28日(現地時間)、駐スペイン北朝鮮大使館前にはスペインの警察官2人がパトカーの中から通行人らを見張っていた。マドリード北部郊外の住宅街にある北朝鮮大使館は22日に暴漢に襲われ、職員が監禁されてコンピューターを盗まれた。警察官2人は「北朝鮮大使館が襲撃された直後から交代で24時間の特別警戒態勢を取っている。犯人の捜査は別途行われている」と語った。
駐スペイン北朝鮮大使館は2013年に設置され、17年に北朝鮮が核実験を実施した際には大使を務めていた金赫哲(キム・ヒョクチョル)氏=現・国務委員会対米特別代表=が追放された。その後、3等書記官のソ・ユンソク氏が大使代理を務めていると現地の消息筋は話している。チャイムを鳴らしても北朝鮮大使館には人のいる気配がなかった。警察官たちは「5時間ずっと誰も出入りしていない」と言った。正体不明の暴漢は22日、北朝鮮大使館を襲撃して職員を4時間にわたり縛り、コンピューターや携帯電話を盗んで車2台に乗って逃げた。警察が確認したところ、この車は北朝鮮大使館所属の外交車だったという。
スペイン紙エル・コンフィデンシャルは同日、米シンクタンク・ランド研究所のブルース・ベネット研究員の話として、犯人たちが北朝鮮の特殊工作員である可能性を報じた。ベネット研究員は金赫哲氏が17年に追放された際、自身や北朝鮮政権にとって重要な文書ファイルを大使館に置いてきた可能性があり、ほかの人物がこれを見ることのないよう、北朝鮮政権や金赫哲氏が工作員を送り込んで急いで回収したのかもしれない、と語った。同研究員はまた、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が金赫哲氏の忠誠心を確かめるため、金赫哲氏の個人ファイルを大使館から持ち出すよう指示した可能性もあると言っている。
北朝鮮大使館側は27日、暴漢襲撃事件が事実であることを認めた。スペイン出身の北朝鮮外務省職員であるアレハンドロ・カオ・デ・ベノス氏はツイッターに、「マドリードにある北朝鮮大使館で発生した盗難事件に関心を持ち、心配してくださり感謝している。職員たちは全員無事だ」と書き込んだ。
韓国外交部(省に相当)当局者は「今回の事件と関連して、脱北者発生などの特異事項が見つかったという報告はない」と話している。