放射線の健康への影響については専門家=放射線医学者に聞きましょう。
日本では原子炉の専門家が放射線の影響について述べているケースがありますが、専門家の意見を聞くべきです。
チェルノブイリ事故で恐怖を煽る報道がなされたことは有名ですし、福島においても近隣の住民に死が宣告されたような報道が世界中でなされました。
2008年のUSCEARの報告書の中で事故当時の被曝による推定死亡者数と現実の犠牲者数とが、なぜこんなに離れてしまったのかということが問題とされました。
その原因の一つとして推定死亡者数が当時のソ連の核政策のためのプロパガンダとして利用された可能性があるということが示唆されています。もし、事実そうならば、米国や欧州において核開発政策の停滞をもたらすことに成功したといえるでしょう。
安全を確保することと、安全を評価することは科学者の仕事です。
政治家や世論の仕事ではありません。
説明は専門家が直接国民に向かって解り易く行うべきです。原発本体のことであれば原子炉や機器の専門家。放射線の健康への影響であれば放射線医学の専門家が行うべきです。解らないことがあれば、解らない理由を添えて正直に説明すべきです。
解説は必要ですが批判や批評、あるいはコメンテーターはこの段階では不要であり、害悪です。利害の推測が必要なのではなく、冷徹な事実が必要なのです。
その説明の場を確保するのは政治とマスコミの責任です。
彼らの科学的な説明を理解したうえで、政治家は国民に複数の選択肢を提示すべきです。
政策決定は国民の手で行われるべきですが、安全を確保することと、安全を評価することは科学者の仕事です。また、政策の選択肢を示すことは政治家の仕事です。
ここを間違えると世論操作になってしまうのです。
原発の再起動と電力の供給の問題も同じです。
原発を推進するかしないかの議論も同様です。
問題は混同すべきではなく、個々の問題ごとに専門家による事実の提示と政治の選択肢の提示が必要なのです。