空飛ぶ要塞 by kaiunmanzoku

海外で情報戦争に巻き込まれてしまいました。私は無事に帰ってこれるでしょうか? 日米中ロの諜報機関と捜査機関が私を取り囲む??

フライングフォートレス (13)

「本日は、あらかじめ我が社で作ったソフトウェアをゲームの本体側にインプットしてありますので、それを使ったデモを行います。

なお、ゲームソフト戦略については、後日ゲームソフト担当の窓口となっている加藤から、報告を兼ねてあらためて発表の機会があると思いますので、本日は概略予定のみ、お話します」

ゲーム背景に代えパワーポイント画面をモニターに映し出す。

「ソフトウェアについては、既に一月前に世界の主要なゲームクリエーターの中から日米のゲームクリエーターを数社選択し、彼らにゲームコンセプトを伝えました。

・・・・・

そして、つい2週間ほど前に、その候補ゲームクリエーターを本社に招待し、アニメーションと試作品によるデモンストレーションを行いました。

・・・・・

リエーターの皆さんには明日から順次、このプロトタイプ、と言ってもほぼ完成品ですが、を使用したデモを視察してもらう予定になっています」

「おいおい、2週間でもう一回日本に出張かい。大変だね」

と前田。

「はい。ハードの開発スピードもソフトウェアに負けてはいけませんからね。

さらに一月後には売り出し時のソフトの各社のコンセプトを提出してもらい、ハード側の微調整を完成させます。

・・・・・

各社のゲームソフトの売り出しまでは、このように・・・6ヶ月から1年ぐらいということです」

「ソフトを作る方は本当に『そのペースでできる』と言っているのかね」前田

「彼らはやる気満々ですよ。もし、このディスクのスピードと運動性能を見たら、負けじと『我々のソフトウェアの反応スピードも速くしよう』と思うでしょう。

彼らはプロであるとともにゲームマニアそのものですから」

「うちにもそれに負けないメカマニアが揃っているから、頼もしい限りだ」前田

「ゲームマニアもいて、ソフトウェアの内容の交渉も負けませんよ」

今まで黙っていた大野が声を出した。

出席者には置物が急に話しだしたような驚きがあったが、一番若い技術課員が無邪気な笑顔で話す無遠慮な一言は笑いを誘った。

後藤は

「どの会社に依頼しているかは皆さん想像が付いているかと思いますが、一般向け公表時まで社外秘、いや、プロジェクトチーム内の最重要機密ですので・・・」

と続けた。

「ゲーム機一式の生産体制も気になるが、ソフト作りに何セットか無償で提供せねばならないだろう」

と、これも今まで黙っていた豊臣社長が後藤ではなく、真田の方を向いて声をかけた。

「提供はするつもりですが、ハード技術が漏れるのではないかと・・・」

「いや、貸し出しにすれば良い。・・」

「2,3か月で他社がモノにできる技術じゃあないよ。論点が・・」

と2,3人が横から口に出し、場がざわざわと沸き立ってきそうな雰囲気になった。もはやゲームのデモ会場と言うより、ライバル入り乱れる会議室のような雰囲気になりかけた。

 

が、その時、

「ゲームクリエータには無料提供し、そのうえで相互守秘義務契約を結ぶ手筈です。

大量生産化のスケジュールは既に新工場担当部門、調達部門とすり合わせ済みで問題はありません。ソフトウェアの第一次量産品出荷時期が何月何日とわかれば、対応できます・・・・・」

と、前田が豊臣に少し大きめの声で説明をし始め、会場はもとの静けさに戻った。

「・・・・・それまでに必要となる実機の生産も新工場にとってはフル稼働前の準備運動のようなものです。

さすがに、ディスクは一部手作りになりますが、それでも大量生産開始前には急旋回用のアクチュエーター生産設備と組立設備も稼働可能です」

・・・・・・・デモ会場は静まりを完全に取り戻した。

 

後藤は、お偉方同志で話が終わったかどうかをその顔色を見ながら確かめて、一息置いてから、ゲームのデモンストレーションを大野に指示した。

「では、我が社で作ったソフトウェアにて、これからゲームのデモンストレーションを行います」