市場原理で脱原発 2012年のブログを再ブログする

日本のエネルギー自給率は8.3%、しかも化石エネルギー依存度は93.6%。安全保障上も環境保護上の観点からも電力政策は抜本的に改革されるべきだ。

再エネ付加金を止めて代わりにCO排出課金制度を創設し、電源ごとに価格設定して、消費者がその割合を選択できるようにすべきだと提言したい。

以下は、2012年のブログの再ブログと最新のエネルギー白書に触れたもの。

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原発依存度の数値目標は馬鹿げている、送発電を分離し、電力の自由化を進めて、家庭や企業で自分たちが利用したい発電エネルギーを選択できるようにすれば市場原理で脱原発ができる。

脱原発化石燃料を経済的に凌駕するものをつくりだせば達成できるのであるから、まず、エネルギー源間の市場競争を促すべきである。また、そもそも現在の電源構成をベースにして電気料金を一方的に押し付ける制度は利用者の権利を奪っている。利用者にエネルギー源を選択できる権利を付与すべきである。それには送発電を分離し、電力の自由化を進めて、家庭や企業で自分たちが利用したい発電エネルギーを選択できるようにすればよい。

下記は例示であるが、

a.原子力電源の電気料金=原子力発電料金+廃炉費用復興助成金

b.LNG・石炭等の化石燃料電源の電気料金=化石燃料発電料金+炭素税

c.水力発電の電気料金=水力発電料金+地元対策費

d,風力発電の電気料金=風力発電料金+鳥類保護対策費開発助成費

e.太陽発電の電気料金=太陽発電料金+土地買収助成費開発助成費

f.地熱発電の電気料金=地力発電料金+国立公園及び泉源維持管理費

g.その他(バイオマス、水素、太陽熱、潮力、波力、etc)

a〜gの混合比での料金体制を数種類用意してもよいし、利用者に選ばせればせてもよい。立地等で割当量に限りのあるものは需要と供給の原理で高くなるかもしれないがそれも市場の論理である。

例:我が家の電力=a 20% + b 20% + c 0% + d 10% + e 20% + f 20% + g 10%

ニーズがあれば色々なエネルギー源をベースとした新しい発電所を作る業者も多く誕生するだろう。その業者からも直接購入ができるようにすればよい。

この際、一切の電源地域対策に類する費用を公開しその費用を電力料金に上乗せし、国家予算や財政投融資枠から切り離すことが、公平な競争を促すことと考える。

発電を事業とするものは市場で売れるエネルギー源を使った電気を発電しようと心がけるであろうから、国民の支持・不支持により自然淘汰的に脱原発が可能になるだろう。


例えば、反原発派の人々は、当然、高くてもクリーンなエネルギーを選ぶだろうし、そうでない人は原発エネルギーを含む選択肢を選べばよい。

石油危機で火力発電だけに頼れないと歴史的経験を持つ日本にはエネルギー安全保障の面からバランス良く選武べきだと考える人もいるだろう。

野鳥保護を重視するバードウォチャーは風力発電を避けてエネルギー源を選択すればよい。

ダムの建設が河川の自然に脅威を与えていると思う人は水力発電を除いたエネルギー。

とにかく安ければよいというのなら、原発オンリーの選択も良いだろう。

温暖化防止のためにCO2の削減を国際公約した国民として、温暖化による水没が危惧される太平洋の島々へ配慮をしたい人もいるだろう。

燃料の大部分を輸入しなければならない現状を考えシーレーン防衛のコストとエネルギーコストの比較を考える人もいるだろう。

主人公は国民である。市場原理で脱原発を可能にしてくれる政策を政府は実行すべきである。


技術立国で輸出産業が社会を支えている、産業、特に物づくりの空洞化が問題となっている日本。

高齢化が進み年金制度、保険制度を支える基盤となる若者の労働力が心配な日本。

財政悪化で税制を見直さねばならない日本。

問題を多く抱える日本でエネルギー問題が反原発原発推進かの二つの選択肢で語られ、数値目標だけが先行するのは間違っている。

もう一度言う、脱原発は経済的な競争で化石燃料をつかったエネルギー源を凌駕するものをつくりだせば達成できる。 送発電分離と家庭や企業に自分たちの使うエネルギー源の選択ができる制度を導入し、市場原理を用いて、政策的に脱原発を誘導すべきである。

国際的責務を果たせる先進国、自由国家、技術立国、途上国の頼れる支援国家が日本の立ち位置である。

日本が築いてきた信用と安心感を失う選択は、全て間違っている。

 

上記は下記の再ブログである。

shousetukaiun.hatenablog.com

 

参考:

「平成29年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2018)より 第2部 第1章 第1節 エネルギー需給の概要 3項 エネルギー供給の動向

3.エネルギー供給の動向
我が国のエネルギー需要は、1960年代以降急速に増大しました。それまでは、国産石炭が我が国のエネルギー供給の中心を担っていました。その後、国産石炭が価格競争力を失う中で、我が国の高度経済成長期をエネルギー供給の面で支えたのが、中東地域などで大量に生産されている石油でした。我が国は、安価な石油を大量に輸入し、1973年度には一次エネルギー国内供給の75.5%を石油に依存していました。しかし、第四次中東戦争を契機に1973年に発生した第一次石油ショックによって、原油価格の高騰と石油供給断絶の不安を経験した我が国は、エネルギー供給を安定化させるため、石油依存度を低減させ、石油に代わるエネルギーとして、原子力天然ガス、石炭などの導入を推進しました。

また、イラン革命によってイランでの石油生産が中断したことに伴い、再び原油価格が大幅に高騰した第二次石油ショック(1979年)は、原子力天然ガス、石炭の導入をさらに促進し、新エネルギーの開発をさらに加速させました。

その結果、一次エネルギー国内供給に占める石油の割合は、2010年度には、40.3%と第一次石油ショック時の1973年度における75.5%から大幅に低下し、その代替として、石炭(22.7%)、天然ガス(18.2%)、原子力(11.2%)の割合が増加するなど、エネルギー源の多様化が図られました(第211-3-1)。しかし、2011年に発生した東日本大震災とその後の原子力発電所の停止により、原子力の代替発電燃料として化石燃料の割合が増加し、近年減少傾向にあった石油の割合は2012年度に44.5%まで上昇しました。

 

 

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資源エネルギー省 エネルギー白書2018より

一次エネルギー国内供給に占める化石エネルギーの依存度を世界の主要国と比較した場合、2015年の日本の依存度は93.6%

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資源エネルギー庁資料 主要国の化石エネルギー依存度(2015年)



4.エネルギー自給率の動向
国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率をエネルギー自給率といいます。我が国では、高度経済成長期にエネルギー需要量が大きくなる中で、供給側では石炭から石油への燃料転換が進み、石油が大量に輸入されるようになりました。1960年度には主に石炭や水力など国内の天然資源により58.1%であったエネルギー自給率は、それ以降大幅に低下しました(第211-4-1)。

石炭・石油だけでなく、石油ショック後に普及拡大した天然ガスは、ほぼ全量が海外から輸入されています。2014年度は原子力の発電量がゼロになったこともあり、過去最低の6.4%に低下しました。

2016年度は再生可能エネルギーの導入や原子力発電所の再稼働が進み、エネルギー自給率8.3%となりました。

 

東日本大震災前には、20%に伸びていたエネルギー自給率は2014年に6.4%、その後8.3%にまで回復した。

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資源エネルギー庁資料 一次エネルギー国内供給構成及び自給率の推移