LAX (6)

私はグラスの水を一気に飲み干そうとしてーいやー飲み干したのだが、途中でむせそうになり口の端から水滴が3粒ほど滴り落ちた。

「ミスター モデストロ 残りのボトルごとこっちへ、イエス、、それからもう一本空けておいてくれればありがたい」

右手で受け取ったボトルから左手にあるグラスに水を注ぎ終わると、すぐに右手で栓を抜いたばかりの新しいボトルを受け取りつつ、もう一度水を飲み干した。

生き返った。

「もう一度聞きます。フライングフォートレスのディスクは何処にあるのですか」

とモデストロ。

「持っていない」

「では何処にあるのですか」

「予備は日本にある」

「手荷物と携帯を見せて下さい」

「なぜだ。CIAが日本人になぜ命令できるんだ」

「貴方の身を守るためです」

「なぜ警察ではないのだ」

「合衆国大統領府の意向です」

「大統領だって」

「そうです。合衆国と同盟国日本の安全がかかっています」

「日本政府の意向は、日本大使館の意向はどうなんだ」

「同意を得ます」

「まだ得ていないのか」

「合衆国は既に要求しております。貴方の国の返事待ちです」

「では、返事を受け取ってくれ。

それから日本大使館か日本のお偉方から私の方へ連絡をもらいたい」

大人しく話を聞いていたホラーが急に立ち上がり、テーブル越しに私の手荷物をソファの上から取り上げた。

「おい。失礼じゃないか。なんの権限があって・・・」

「危険物の有無うぉ調べさせていただきます」

「危険物が無いことは飛行機に乗る前に調べてあるだろう」

「合衆国の空港のカスタムスうぉ貴方は、まだ通過していない」

「税関の役人にやらせろよ」

「携帯を」とモデストロ「大人しく渡していただけませんか」

「いやだ」

「貴方の家族の安全もかかっているのですよ」ホラー

「私の家族も危険だと言うのか」

「危険でないとは断定できません」モデストロ

「・・・」

「貴方の娘さんは、まだ10歳だし、息子さんは7歳だ。

貴方に万一のことがあったら、どうするのですか。

貴方は後藤千鶴子さんのたったひとりきりの息子さんで、千鶴子さんは浦安の病院に入院して3週間にもなる。

奥さんの真由美さんもお困りになるのではないでしょうか。

奥様も最近父親を亡くしたばかりと聞いています。貴方がいないと心細いでしょう」

とモデストロ。

「それに完全看護の病院は費用がかかると聞いています。自分の身うぉ、まず、考えるべきではないでしょうか。後藤さん。

千鶴子さんのアルツハイマーの薬は欧米では許可が出てますが、日本では認可されていないのでとっても高いと聞いています」

とホラー。

「うちの家族のことを・・・」

「調べさせていただきました。・・・・

携帯を渡していただけますか」

私は、高級スーツの二人から目を離さずに、自分でミネラルウォーターの栓を開けた。